前日の大雨がすっかりあがり,からっと晴れ上がり,気持ちのよい秋びよりとなりました.新池周辺の草むらでは,エンマコオロギ(閻魔蟋蟀,コオロギ科)とミツカドコオロギ(蟋蟀,コオロギ科)の鳴き声が,それぞれコロコロとリッリッリッリッリッと,また,アオマツムシ(青松虫,コオロギ科)がリーッリーッリーッと合奏していました.
まず,参加者が持ってきた,約5cm径のヤマナシ(山梨,バラ科)と約2cm径のアイナシ(合梨,バラ科)の実を観察しました.ナシの原種で,アイナシは,イヌナシ(犬梨,バラ科)とヤマナシの交配雑種だという説明がありました.どちらも食用には適さず,アイナシは有毒だということでした.このとき,モズが銀杏(イチョウ)の尖端で高鳴きを始め,皆が注目しました.
次に,先月の報告を見て,タカサブロウ(高三郎,キク科)の由来が,まず話題になりました.目のただれの薬草としてまだ使われているかという疑問がでました.ウェブに,「ただれ目,血尿,血便の止血には,乾燥したタカサブロウの全草3〜10グラム,水0.6リットルで半量まで煎じて,洗眼及び服用する」という記述があり,中国や沖縄ではまだ使われているようです.関連して,アフリカ人に平和公園ではどのような薬草があるかと聞かれ,ドクダミ(?草,ドクダミ科)とヨモギ(蓬,キク科)しか答えられなかったという話しがでました.ここで,子供がナミアゲハ(並揚羽,アゲハチョウ科)の幼虫を回覧しました.ナガサキアゲハ(長崎揚羽,アゲハチョウ科)ではないかという人がいましたが,図鑑でナミアゲハの幼虫の特徴を確認しました.緑に白い横筋だけでなく頭の下に少し太い青色の横筋があることも観察しました.
集合場所を出発して,東星ふれあい広場に入りました.水路の周辺だけでなくノシバ(野芝,イネ科)の上にも水が浮いていました.水路には,トノサマガエル?(殿様蛙,アカガエル科)がたくさんいました.先日も見た,キンエノコログサ(金狗尾草,イネ科)以外に,ヌカキビ(糠黍,イネ科)とムラサキヒメススキ(紫姫薄,イネ科)も観察しました.また,白い5弁の小さな花を咲かせたイヌホオズキ(犬鬼灯,ナス科)もありました.アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩,マメ科)は花を咲かせるとともに,ひっつき虫の実もつけていました.
ハンノキ(榛の木,カバノキ科)のある土手まで行き,その斜面のハンノキの実生(みしょう)を数えました.斜面全体では,苗木として使えるのは150本ほど有りました.11月21日に,大坂池(オサカイケ)の東側に移植するそうです.ここで,外来種のウシガエル(牛蛙,アカガエル科)を捕えた人がいました.このカエルのオタマジャクシは,2年間に渡って水の中にいて成長するそうです.さらに,ショウリョウバッタ(精霊飛蝗,バッタ科)を捕まえた人がおり,雄は飛ぶ時に翅がキチキチと鳴るので,キチキチバッタといわれているという説明もありました.
南尾根へ入るために入口斜面を登り始めたときに,木の根本に赤いマンジュシャゲ(曼珠沙華,ヒガンバナ科)の赤い花が20本くらいまとまって咲いていました.平和公園の中のシロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華,ヒガンバナ科)は,赤い花より開花が早かったそうです.「花は葉知らず,葉は花知らず」ということをある参加者が言いました.
ハリエンジュ(針槐,マメ科)の葉で,オオエグリシャチホコ(大抉鯱蛾,シャチホコガ科)の幼虫を見つけた人がいました.葉が食害にあっていたので,周辺を探して見つけたそうです.近くで,背が緑色のサツマノミダマシ(薩摩の実騙,コガネグモ科)を捕まえて,蜘蛛の糸の先につけて,ヨーヨーのようにしました.ここまでで11時になってしまいました.
早足で歩いて奥池に向かいました.道の端には,モクレン(木蓮,モクレン科)の幼木やチジミザサ(縮み笹,イネ科)の群生がありました.また,スフベタケ(燻茸,ホコリタケ科)の一種のキノコがたくさんありました.アベマキ(阿部槇,ブナ科)の葉に,カクモンハマキ(格紋葉巻,ハマキガ科)の幼虫を見つけました.この幼虫は,アベマキの葉の裏から食べていました.
アセビの花芽,ヒヨドリバナ(鵯花,キク科)の白い花,およびオオイタドリ(大虎杖,タデ科)の実などを観察しました.道路の真ん中で,スズメバチ(雀蜂,スズメバチ科)がとまっていました.よく見ると,カマキリ(蟷螂,カマキリ科)が死んでおり,これにとりついて肉団子を造ろうとしていました.さらにいくと,15cm径近くの笠をもち,ひらひらのスカートをつけた臭いキノコを2つ見つけました.裏面を傷つけると酸化して色が変わりました.
ハギ(萩,マメ科)の木に,オオミノガ(大蓑蛾,ミノガ科)の蓑が付いていました.平和公園でも既にオオミノガの蓑はめずらしくなっています.クサギ(臭木,クマツヅラ科)は,白い花は既になく,星状に開いた濃紅紫色のガクの中に青い実をつけていました.エノキ(榎,ニレ科)やノブドウ(野葡萄,ブドウ科)も観察しました.ノブドウは,緑,青,紫など種々の色の実をつけていました.イボタノキ(水蝋の木,モクセイ科)も見ました.
奥池に着いて,シロメダカ(白目高,メダカ科)を探しました.すぐに,群になっていてのを見つけて,50匹ではすまないということになりました.水生昆虫の餌として売られているのを,誰かが放したようです.3匹だけ網で捕獲して観察しました.倒れている朽ち木にたくさんのヒラタケ(平茸,ヒラタケ科)が付いているのを見つけて,コンビニ袋一杯に採取しました.今回食べられる唯一のキノコでした.ここで,先月も観察したイオウイロハシリグモ(硫黄色走蜘蛛,キシダグモ科)とアメリカザリガニ(亜米利加喇蛄,アメリカザリガニ科)も見つけました.
里山の家まで,水田を見ながら急いで帰りました.椅子に座って,弁当を食べながら感想会を行いました.アサギマダラ(浅葱斑,マダラチョウ科)を見つけられなくて,残念だったという感想がまず出ました.逆に,種々のキノコを見ることができて良かったという感想も出ました.屋根の下で弁当を食べるのは,弁当をテーブルの上に広げられて便利ですが,外で食べるのも良いと思いました.日差しは,まだ少し厳しかったですが快適な観察会になりました. |
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2010年10月の観察記録
2010年10月の観察記録(印刷用PDF)です
| 2011-2-6 | 457 | |
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