曇りで少し寒いくらいでしたが歩くのには丁度よい日よりでした.新池周辺のサクラ(桜,バラ科),トウカエデ(唐楓,カエデ科),サルスベリ(百日紅,ミソハギ科)などが紅葉(黄葉)して,また,センダン(栴檀,センダン科)の実もクリーム色になって秋の深まりを感じさせました.新池の水面を,まだほとんど覆っているスイレン(睡蓮,スイレン科)は,既に元気なく暗緑色になっていました.わずかに残っていた水面では,9羽のヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)が逆立ちをして藻を食べていました.
里山の家の大坂池側には,ハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科),モズ(百舌鳥,モズ科)およびヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)が来ていました.また,ツグミ(鶫,ツフミ科)も数羽上空通過をしていました.カエル池には,いつものように数羽のスズメ(雀,スズメ科)が来ていました.
先月の記録を見ながら,9月に観察したアカトンボはアキアカネ(秋茜,トンボ科)でなくヒメアカネ(姫茜,トンボ科)の可能性が高いという報告がありました.色でなく胸の模様の違いをもっと見分ける必要があるそうです.先月の記録の中のアオサギ(蒼鷺,サギ科)は何を食べるかという問いに,30cm以上の大きな魚を2度も飲み込んでいるのを目撃したという人がいました.小魚を飲み込むときは,あとで水を飲むという観察報告もでました.
この後で,スダジイ(すだ椎,ブナ科),コナラ(木楢,ブナ科),アラカシ(粗樫,ブナ科)やクヌギ(櫟,ブナ科)などのドングリを持ってきた人がいたので,子供たちと一緒に観察しました.クヌギのドングリは,アベマキ(阿部槇,ブナ科)のドングリに似ていましたが,アベマキのドングリはもう少し細長いので,だるま型のこのドングリは多分クヌギだろうということになりました.
ここまでで,10:20になってしまい,早速出発しました.すぐに道路沿いのトウカエデの紅葉がきれいだということで,紅葉した落ち葉を拾って観察しました.男の子が名前は知らないが,カエデの仲間だと言いました.カエデの葉が蛙の手の形状をしていることから,「カエルデ」となりそれが転訛したものとされているという名前の由来が出ました.トウカエデは,個体差が大きく,真っ赤に紅葉した木と,まだ緑の木が混在していました.関連して,カナダ国旗(サトウカエデ,シュガーメイプル)やサトウカエデ(砂糖楓,カエデ科)の樹液を煮詰めたメイプルシロップの話が出ました.
元は畑であった所で小さな実を付けたマメガキ(豆柿,カキノキ科)と,その奥にそれよりはかなり大きな実をつけたカキ(柿,カキノキ科)を観察しました.カキは渋柿でした.すぐ向かえの畑の跡地にはキウイ(Kiwifruit,マタタビ科)が見えました.昔,栽培していた名残りのようでした.
道ばたにムラサキシキブ(紫式部,クマツヅラ科)を見つけて,紫色の小さな実を皆で食べました.ほのかに甘いという感想がでました.イナゴ(蝗または稲子,イナゴ科)を2匹つかまえビニール袋に入れて観察しました.
炭焼広場に行き,サツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)堀りを見ました.たくさんのサツマイモが収穫されており,青いビニルシートの上に,大きさ別に並べられていました.中には,カボチャのような形になった大きなサツマイモもありました.炭焼窯の横で,サツマイモを薄切りにして,網の上で焼いていました.皆でその焼芋を食べましたが,ベニアズマ(紅東)という品種で,甘くておいしい焼き芋でした.形は悪くても中身の詰まったおいしい芋でした.
炭焼窯の中にコナラの丸太を詰めて,既に炭焼きの準備が出来ていました.窯の周辺には,刈ったイネが稲架(はさ)に干してありました.少しだけ穂をとって,胚芽がどちらに側についているかを確認しました.穂の付け根側に胚芽はありました.籾をとったのは玄米で,その後,精米をしていくと,胚芽米,白米,無洗米の順になります.もっと表面を削ってでんぷんのみにしたのが酒米ということでした.肌ヌカを完全に取った無洗米が環境に優しいとして,宣伝されていますが,とぎ汁から出るリンや窒素が環境に与える負荷はきわめて少ないという説明がありました.炭焼広場から見た湿地のナンキンハゼ(南京櫨,トウダイグサ科)は,まだ少ししか紅葉していませんでした.
炭焼広場から少し東に行き,ボケ(木瓜,バラ科)の木のところで,蜘蛛を観察しました.数匹のジョロウグモ(女郎蜘,アシナガグモ科)を観察して,やせているのが多く,もう雄は1匹もいませんでした.シロガネイソウロウグモ(白銀居候蜘蛛,ヒメグモ科)は子供が見つけました.サツマノミダマシ(薩摩実騙,コガネグモ科)も1匹だけ網を作っていました.夜行性なのに珍しい姿でした.どこから糸を出しているのかとの子供の問いに,ジョロウグモのお尻の内側のイボ(糸イボ,ジョロウグモは4対8個)を指さして,ここからという回答がありました.各イボによって縦糸や横糸など異なる糸を出すようです.
ボケの下草として,2mを超える長さのカニクサ(蟹草,フサシダ科)がありました.小葉がたくさんついていましたが,実は1枚の葉という説明でした.また,オオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の卵のうを子供達が見つけました.卵のうの形からオオカマキリのものだと子供たちは断言しました.ここで,ユキムシ(雪虫は俗称(トドノネオオワタムシ),アブラムシ科)を捕獲して,小さな観察容器に入れて回覧しました.
観察項目:ウシガエルの骨格標本,ヤマノイモ,オニドコロ,種々のドングリ,フェイジョア,シマヘビの骨格標本,アブラコウモリ,トウカエデ,スズメ,ノビタキ,ヌカキビ,アオマツムシ,カルガモ,マメガキ,渋柿,チャ,カラスウリの実,イナゴ,ムラサキシキブ,ガマズミ,ヘクソカズラ,サツマイモ,エビガラスズメのサナギ,コメの胚芽,ジョロウグモ,サツマノミダマシ,シロガネイソウロウグモ,オオカマキリの卵のう,カニクサ,ユキムシ 文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子 |
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2010年11月の観察記録
2010年11月の観察記録(印刷用PDF)です。
| 2011-2-6 | 365 | |
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