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2011年 > 9月度の観察記録
9月度の観察記録
2011年9月度の観察記録です。

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曇り時々晴れでしたが,陽差しは強く,暑い日になりました.しかし,秋の気配として街路樹のサクラ(桜,バラ科)の葉の一部が黄葉して散り始めていました.新池の土手のセンダン(栴檀,センダン科)には青い実がたくさんついていましたが,一部は下に落ちていました.30数羽のムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が電線にとまっていましたが,それ以外の野鳥は新池周辺にはいませんでした.
セミはツクツクボウシ(つくつく法師,セミ科)の鳴き声だけでした.新池の鉄フェンスには,ノアズキ(野小豆,マメ科)の黄色い花がかなりたくさんありました.参加者は,大人21名と子供4名でした.
暑かったので,先月と同じように里山の家の中で集合しました.

ノアズキの花

最初に,参加者が持ってきたワルナスビ(悪茄子,ナス科,別名:鬼茄子)を観察しました.1cm 径くらいの球形の2つの小さな実でしたが,スイカ(西瓜,ウリ科)のような模様がついていました.
インドやネパールによくある野草で,神戸周辺にもあるという説明でした.次に,黒いハス(蓮,ハス科)の実を観察しました.ドングリのように堅いのでどうやって食べるのかという質問がでました.
ドングリと同じように煎って食べるという説明がありました.子供の頃,名古屋市内にもハス田は結構あり,ハスの青い実を食べた経験が50歳台以上の多くの人にあると思います.ハス田は泥土で中には入れず,畦近くの実を竿などを使って寄せて採った覚えがあります.この近くでは飛島村の観光ハス田が有名ですが,これまでいつ行っても手の届く所の実は食べられていました.

ワルナスビとハスの実

このとき,外の縁台にツマグロヒョウモン(褄黒豹紋,タテハチョウ科)がとまったので,早速,参加者の1人が網で捕獲にいきました.翅の端(褄)が黒くないので雄でした.鳥が嫌がるカバマダラ(蒲斑,マダラチョウ科)に模様や飛び方を擬態していると言われています.脚の数を数えて,4本しかなく,前脚の2本は退化して,わずかに痕跡しか残っていないことを確認しました.タテハチョウ科の蝶は,このようになっているそうです.多分,飛びやすさのためにこうなったのではという感想がでました.

ツマグロヒョウモン

次に,ぶつぶつが付いた1.5cm 径くらいの赤いヤマボウシ(山法師,ミズキ科)の実を取り上げました.食べたことがあるということで,男の子が2つの実の皮をむいて,皆で少しずつ食べました.
甘いという感想がでました.ホソバイヌビワ(細葉犬枇杷,クワ科)の実も観察しました.寄生蜂の研究に使われたという解説がありました.じっとしているウバタマムシ(姥玉虫,タマムシ科)を回覧しました.触ると動き始めましたが,ひっくり返すとなかなか起き上がれませんでした.地味ですが,表面の絣模様と裏面の光る様子はなかなかのものでした.

ヤマボウシの実 ホソバイヌビワ ウバタマムシ

名前が分からないとして自宅から持ってこられたアブチロン(Abutilon,アオイ科)の花も見ました.その後,瓶にさしたブラジルコミカンソウ(伯剌西爾小蜜柑草,トウダイグサ科)とヒメミカンソウ(姫蜜柑草,トウダイグサ科)を比較して,実の付き方が違うことを確認しました.ビナンカズラ(美男蔓,マツブサ科)の実も観察しました.枝についたアベマキ(阿部槇,ブナ科)とコナラ(木楢,ブナ科)のドングリを持ってきた人がいました.アベマキはドングリの成熟に2年かかるので,昨年の枝に実が付いており,コナラは今年の枝に付いていました.
瓶に入れた2mm長くらいの小さな幼虫を持ってきた人がいました.ルーペで見て,多分ミノムシ(蓑虫,ミノガ科)の幼虫だろうということになりました.
ここまでで,10:25過ぎになってしまい,急いで大坂池に向かって出発しました.

アブチロン ブラジルコミカンソウとヒメミカンソウ

大坂池の土手で,先週と同じように黄色い花を咲かせたアレチケツメイ(荒地決明,マメ科)を見ました.ツマグロキチョウ(褄黒黄蝶,シロチョウ科)の食草で,花のベロが長い形をしていました.
在来のカワラケツメイ(河原決明,マメ科)が少なくなり,その結果ツマグロキチョウが減少して絶命危惧種に選定しようとしたところ,外来種のアレチケツメイを食草として名古屋などで多く繁殖していることが分かり,選定されなかったという経緯の説明がありました.付いていた蜜線と関連して,NHK テレビの「ためしてガッテン」で最近やったアオジソ(青紫蘇,シゾ科)の葉の裏のトパーズのように輝く粒(香りの元)には手で触れてはいけないという話が出ました.たくさんあったヒメムカシヨモギ(姫昔蓬,キク科)とオオアレチノギク(大荒地野菊,キク科)の判定が難しいという感想がでました.

【外部リンク】オオアレチノギクとヒメムカシヨモギ(関西グリーン研究所)

アレチケツメイの花

ここで,数匹のエンマコオロギ(閻魔蟋蟀,コオロギ科)が足下にいたので,急いで捕獲して顔を観察して.閻魔様の顔に似ているという説明がありましたが,怖いというよりかわいいという感想がでました.網で,飛んでいる小ぶりのトンボを網で捕獲しました.翅の先端が黒くなっており,ノシメトンボ(熨斗目蜻蛉,トンボ科)であることを確認しました.
穂が金色に見えるキンエノコログサ(金狗尾草,イネ科)と背が高く緑の穂が垂れているアキノエノコログサ(秋狗尾草,イネ科)を比較しました.

エンマコオロギ ノシメトンボ アキノエノコログサとキンエノコログサ

小道の真ん中でアゼムシロ(畦筵,キキョウ科)を発見して白い花を観察しました.花は,扇形をしていました.ピンクの花を咲かせたママコノシリヌグイ(継子の尻拭い,タデ科)を見つけて,花のないときに三角形の葉の形が似ているイシミカワ(石見川,タデ科)との区別ができるかという質問がでました.少し手前のところで瑠璃色の実をつけたイシミカワを持ってきて比較しました.ママコノシリヌグイの葉と葉柄はウチワ状で,イシミカワは傘状という説明でした.周辺に,カナムグラ(鉄葎,アサ科)も群生していました.
ここで,オジロアシナガゾウムシ(尾白足長象虫,ゾウムシ科)を男の子が捕まえて回覧しました.前に,その色合いから勝手にパンダゾウムシと言っていたものでした.

アゼムシロ ママコノシリヌグイ イシミカワの実 オジロアシナガゾウムシ

ムラサキシキブ(紫式部,クマツヅラ科)が一株あり,紫色の6mm 径程度の小さな実が密集して付いていました.水田の横のウスノキ(臼木,ツツジ科)には赤い実がまばらに付いていました.子供達が競って食べました.もう少し森に入ったところで,木の根元で色があせたカエンタケ(火焔茸,ニクザキン科)が2株ありました.触っただけでかぶれるという危険なきのこでした.来年は,この周辺で増えるのではと危惧しています.

ムラサキシキブ ウスノキの実 カエンタケ

湿地で一面のシラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)の白い頭花をみました.先月と違って球状の頭花は大きくなっていました.
サギソウ(鷺草,ラン科)はもうありませんでした.そこで,飛んでいるハナバチ(花蜂,ハナバチ科)を捕獲して観察しました.あぜ道を歩きながら,サツマノミダマシ(薩摩実騙,コガネグモ科),サワフタギ(沢蓋木,ハイノキ科),ヒヨドリグサ(鵯草,キク科),ワレモコウ(吾亦紅,バラ科),アキノウナギツカミ(秋鰻攫,タデ科)などを観察しました.トキワハゼ(常盤爆,ゴマノハグサ科)とウリクサ(瓜草,ゴマノハグサ科)の花も観察しました.水田の実った稲の穂は一部白化しており,病気のようでした.アメリカタカサブロウ(亜米利加?盪囲此ぅ?ク科),ケイヌビエ(毛犬稗,オネ科),イヌビエ(犬稗,イネ科)なども周辺にありました.さらに東に向かって歩き,せせらぎでミソハギ(禊萩,ミソハギ科)を観察しました.少し広くなったところで,小さな紫色の花を付けたアレチヌスビトハギ(荒地盗人萩,マメ科)が群生していました.
もう少しで,引っ付き虫になりそうでした.

サツマノミダマシ

アオバアリガタハネカクシ(青翅蟻形隠翅虫,ハネカクシ科)を捕まえ,瓶に入れて観察しました.体液に毒があり,皮膚につくと痛がゆいそうです.手の上に載せる勇気のある人はいませんでした.
周辺で,すごい数の蜘蛛の子の惑いをみました.手を近づけると,全体でさっさっと動きました.オニグモ(鬼蜘蛛,コガネグモ科)の子供達だという人がいましたが,近くにイオウイロハシリグモ(硫黄色走蜘蛛,キシダグモ科)の母蜘蛛がいました.惑いが済むまで子供達を見守っているようでした.オンブバッタ(負飛蝗,オンブバッタ科)を見つけました.上にいるのが子供だと思っていた参加者もいました.もちろん夫婦です.ナガコガネグモ(]長黄金蜘蛛,コガネグモ科)が昆虫をとらえているところを観察しました.このとき,近くでツクツクボウシが大きな声で鳴き始めました.

アオバアリガタハネカクシ ナガコガネグモ

終了時間が近くなったので,里山の家に戻りはじめました.途中の炭焼広場で,蕎麦畑を見ました.先月の観察会の日に種を植えたものでしたが,ソバ(蕎麦,タデ科)の白い花は満開でした.NHKの「おひさま」でソバの白い花は有名になりましたが,70日〜90日で収穫できるソバは,凶作のときの貴重な食料源となることがよく分かりました.
帰り道のアベマキにスズメバチ(雀蜂,スズメバチ科)が先月と同様にきていました.
感想会は先月と同じように里山の家の中で行いました.まだまだ暑い日でしたが,多くの虫たちに出会った楽しい観察会になりました.

ソバ

観察項目: ヤマボウシの実,ホソバイヌビワ,ワルナスビ,ハスの実,アブチロン,ブラジルミカンソウ,ヒメミカンソウ,アベマキとコナラのドングリ,ツマグロヒョウモン,ウバタマムシ,アレチケツメイ,ヒメムカシヨモギ,エンマコオロギ,ムカデ,コフキゾウムシ,オジロアシナガゾウムシ,ノシメトンボ,アゼムシロ,キンエノコログサ,アキノエノコログサ,ママコノシリヌグイ,イシミカワ,ウスノキ,ツユクサ,シラタマホシクサ.サツマノミダマシ,アキノウナギツカミ,サワフタギ,ウリクサ,トキワハゼ,ムラサキゴケ,病気のイネ,ミソハギ,イオウイロハシリグモの子蜘蛛の惑い,ナガコガネグモ,アオバアリガタハネカクシ,オオシオカラ,ソバの花,カキツバタ,サワギキョウ,ジネンジョのムカゴ,カキ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2012-1-3 295

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