前夜の雪は降り止んでいましたが,数cm積もった雪は,陽差しによって溶け始め,平和公園内の道は歩きにくくなっていまし た.長靴を履いて行こうかと思いましたが,結局,いつものウォーキングシューズで,予想通り靴下がぬれました.気温は1桁からあがりませんでした.新池の 西側は日当たりが良く,オオバン(大鷭,クイナ科)2羽,バ ン(鷭,クイナ科)1羽,ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)6羽,コガモ(小鴨,カモ科)8羽が水 に浮かんで盛んに動いていました.ジョウビタキ(常鶲,ツグミ科)のオス1羽が,樹木に止まってヒッヒッヒッと地鳴きしていました.新池北側の樹木下の水 面では,浮き寝状態で,ヒドリガモ12羽,オナガガモ(尾長鴨,カモ科)2羽,そしてコガモが20羽いました.土手のセンダン(栴檀,センダン科)には, シワの入ったクリーム色の実が,まだたくさん付いており,ム クドリ(椋鳥,ムクドリ科)が食べに来ていました.参加者は,先月と同じように抱かれた赤ちゃ ん1人を含む子供5名と大人19名でした.
里山の家の前の広場は,雪が溶けて泥土になっていたので,狭い軒下で集合しました.まず,先月の報告を皆で見ました.写真 のオオバンに追いかけられているヒドリガモは,オオバンが潜って取ってくる藻のおこぼれをもらうために寄ってくるヒドリガモをうっとおしく思い,追い払っ た瞬間を撮ったものだという説明を私がしました.邪魔をするということに関連してオオタカ(蒼鷹,タカ科)の営巣の写真を撮ったり見物に来る人が多いた め,餌をとってきた親が巣に入れないのを,周辺にカラス(烏,カラス科)が居るので,巣に戻れないと言っていた人達がいたという話しが出ました.実際はそ の人達に邪魔されていたということです.できれば営巣中は巣に近づくのは避けたいものです.次に,タンポポ(蒲公英,キク科)のロゼットの写真を見て,ど うしてロゼット型になるかの話しがありました.太陽光を効率的に受け,地熱を利用するとともに刈られるのを防いでいるというような理由があるようです. オカモトトゲエダシャク(岡 本刺枝尺蛾,シャクガ科)の羽化の写真と羽が異形になった成虫を持ってきた人がいました.これも,春を告げるスプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)の1つだという説明がありました.同じ人がキ イロテントウ(黄色天道虫,テントウムシ科)と草が入ったビニル袋を持ってきたので回覧して観察しました.先月のドロバチ(泥 蜂(総称),ドロバチ科)の巣は,ヒメベッコウバチ(姫鼈甲蜂,ドロバチ科)の巣だろうということになりました.
忍冬酒を 持って来た参加者がいました.ラベルのくずし文字が読めませんでした.説明文を読んで,スイカズラ(吸葛,スイカズラ科,別名:忍冬)を10年かけてつけ 込むと書いてありました.スイカズラは江戸時代からの薬草で,各地で忍冬酒は作られていましたが,今は犬山と浜松が有名です.徳川家康が愛用していたよう です.焼酎にコウジともち米(甘酒と同じ,砂糖で代用可)を入れて,スイカズラの花(蕾がよいが,葉や茎を使う場合もあり)をつけ込けこむので甘い飲み物 だそうです. 【外部リンク】徳川家康が愛飲した幻の薬酒「忍冬酒」を作ろう(雑想庵の破れた障子)
ニホンミツバチ(日
本蜜蜂,ミツバチ科)の黄色い蜜蝋が
披露されました.0.1mm厚の六角形のハニカム構造の巣から作ったそうです.甘いにおいがしますが,食べても甘くないそうです.ミツバチの巣は蜂の腹に
ある蝋腺から分泌した蜜蝋で造られ,新しい巣箱にこの蜜蝋を塗ると分封した蜂が集まりやすいという説明がありました.高級リップクリームや食べられるクレ
ヨンの原料にも使われるということでした.
子供達は,この間,大坂池周辺で雪遊びをしていました.泥だらけの雪だるまも造られていました.ニホンアカガエル(日本赤
蛙,アカガエル科)の卵塊を見にいくために水田の方に出発しました.最も早いのは1月28日に産卵し,例年より早いという報告がありました.
次に,直ぐ横の背の高いムクノキ(椋木,ニレ科)にキクラゲ(木耳,キクラゲ科)がたくさんつい
ているのを見つけました.採って食べた人もいました.そのキクラゲの間にシロフフユエダシャク(白斑冬枝尺,シャクガ科)が1匹止まっていました.名前を
同定したのは感想会のときでした.
凍った池で,大人が子供を支えて落ちないようにしてニホンアカガエルの卵塊を採らせました.卵は 白いものが見え,既に原腸胚のものもありました.卵塊は,隣の池も含めると9個ありました.水温をアルコール温度計で,子供に測らせたところ2.5度でし た.
シンジュ(神
樹,ニガキ科)の葉痕と冬芽も見ました.
クマザサ(隈笹,イネ科)の中でア マチャズル(甘茶蔓,ウリ科)の7〜8mm大の黒い実を見つけた参加者がいました.黒光りして,鉢巻きのような輪とその中に点 々の模様があり顔のように見えました.実を食べた人もいましたが,甘くはないという感想がでました.離層ができず枯れても葉の落ちないヤマコウバシ(山香,クスノキ科)を観察しま した.においは全くありませんでした.冬の雑木林で,この枯れた葉は目立ちます.
登りの藪こぎをして,キラニン広場に行きました.赤ちゃんを抱いた女性の参加者が心配でしたが無事ついてこられました.こ
こでいつものようにシャシャンボウ(小小坊,ツツジ科)の実を採るつもりでしたが,今年は全くついていませんでした.ここから直ぐに下りの藪こぎをすると
急斜面なので,道なりに下って大回りして,防護柵をまたいで,下りの藪こぎをしてカンアオイ(寒葵(総称),ウマノスズクサ科)を観察に行きました. 【外部リンク】エライオソーム・「アリ散布型植物」とは(究JYお勉強ページ)
感想会は,里山の家の中で行いました.GPS機能のついたタブレットを持っている人に,今回歩いたルートと高低差の図を見
せてもらいました.ずっと抱っこされていた赤ちゃんが元気に床をハイハイしました.感想として,「この寒いのに産卵したアカガエルのお母さんはご苦労さん
でした」というのがまずでました.確実に春が近付いていました.寒くていやという人もいましたが多くの人が雪景色を楽しんだようです.ニホンミツバチの蜂
蜜が高いのは,収穫率がセイヨウミツバチ(西洋蜜蜂,ミツバチ科)の1/25だという説明がありました.バラバラに咲くヒメオドリコソウ(姫踊子草,シソ
科)などの蜜を集めるためだそうです. 文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子 |
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2014年2月度の印刷用観察記録
2014年2月度の印刷用観察記録です。
| 2014-6-14 | 284 | |
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