2020年 4月 12日(日)9:30〜12:30 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが衰えず、今月の自然観察会も事前に中止が決まりました。3月は記録を残すことを目的として数名による記録会をおこないましたが、今月は愛知県独自の緊急事態宣言が発せられ、外出の自粛を求められる事態となりました。これは平和公園を個人的に歩いて取った記録です。 平和公園の入り口には名古屋市から市民に向けて、公園の利用に関する注意書きが掲げられていました。集団や団体での利用を控えることを呼び掛ける内容でした。里山の家は閉館が案内され、利用できるのはトイレのみとなっていました。そして東向きの出入り口は全て閉鎖されていました。
マサキの葉に食べあとがあり、ミノウスバの幼虫がたくさん見つかりました。一枚の葉の裏に何匹も集まっていました。近くのクワをよく見ると、地味な花が咲き始めていました。おたまじゃくし池のキショウブの葉にヤマトカギバがとまっていました。あとで調べるとコナラやアベマキを食草とし、蛹で越冬する蛾であることがわかりました。
足もとの草花を観察すると、ヤエムグラやウシハコベの花が咲き、先月花を観察したオオイヌノフグリには実がついていました。今まで実を注意して観察したことがなく、名前の由来になったのは実の形であることを知りました。
名前が「スズメ」で始まる植物はいろいろありますが、この日はスズメノテッポウ、スズメノヤリ、そしてスズメノカタビラを見ました。スズメは昔の人にとっても身近な存在だったのでしょう
カラスノエンドウにケバエの仲間が来ていました。今までの自然観察会で、幼虫が地面で大量発生しているのを見かけたことのある昆虫です。続いて姿を見せたのはルリタテハでした。去年の秋に羽化して成虫で越冬したチョウですが、翅の状態はきれいなようでした。また4月の観察会の常連であるビロードツリアブも写真に撮ることができました。
一重のヤマブキの花が咲いていました。「ヤマブキ色」と言うには少し黄色が明るいように見えました。北尾根へ向かう道の入り口ではヤマツツジとコバノミツバツツジが花盛りでした。
北尾根へ向けて歩き始めてすぐのところで見かけたハクサンボクのつぼみはまだ固く、開花にはもうしばらくかかりそうでした。木々の新芽が至るところで目につき、ヤマウルシやウバメガシ、ネジキやカクレミノなど、落葉樹、常緑樹ともに芽吹きの美しい時期を迎えていました。
ガマズミの花はまぶしいほどの白色でした。鼻を近づけると甘い香りが感じられました。サルトリイバラも花が咲き始め、新しい葉は赤味を帯びていました。もうしばらく北尾根を歩いて、ザイフリボクを見に行きました。花は上方に伸びた枝についていて、下からはあまりよくは見えず、遠目に白い花を確認できる程度でした。
先月は冬芽を観察したタカノツメですが、この日は芽吹いた姿があちこちで見られ、北尾根周辺に数が多いのを改めて感じました。春の山菜として知られ、天ぷらにして食べると聞きます。ミヤマガマズミの花は満開には少し早いようでした。コナラの実生が多く見られる場所で、そのうちの一本に大きな虫こぶが見つかり、調べるとナラメリンゴフシと言って、中ではナラメリンゴタマバチというハチの仲間が育っているようです。
道端のタンポポをよく見ると、ヤブキリの幼虫が花を訪れていました。花びらや花粉を食べているかもしれないと思いしばらく見ていましたが、残念ながら確認できませんでした。ミチタネツケバナとタネツケバナはどちらも白い小さな花が咲きよく似ていますが、調べるとミチタネツケバナはヨーロッパ原産の帰化植物、タネツケバナは在来の植物でした。さらにミチタネツケバナは乾いた場所に生えるのに対してタネツケバナは水辺で見られるとのこと。確かに先月タネツケバナを観察した場所はオタマジャクシ池のそばでした。そして田んぼの周りでよく見られるのもこちらです。そして「タネツケバナ」の名は、水田の稲の苗を育てるために、種籾を水につける頃に花が咲くことからついた名前とのことです。そういえば東山の森づくりの会の田んぼでは近々種籾を水に浸す作業をするとの話を聞いたばかりです。
アベマキの枝からたくさんの雄花が垂れ下がっているのに気づきました。近寄ってよく調べると、小さな雌花も見つけることができました。赤い色が印象的でした。フジの花のつぼみが早くもほころび始めていました。匂いを嗅いでみましたが、まだほとんど感じられませんでした。
日当たりのいい開けた場所に紫色のスミレの花がたくさん咲いていました。田んぼの近くのケキツネノボタンには実がつき始めていました。カラスノエンドウにアブラムシがついていたので写真を撮ったところ、帰宅してから確認するとその写真の中にアブラムシを捕食するテントウムシの幼虫が写り込んでいました。
中道沿いのギシギシはレース状になるほどの食痕が見られ、4月の自然観察会の常連であるコガタルリハムシの幼虫が見つかりました。この日は成虫の姿は見られませんでした。ハンノキではもう雄花は見られず、雌花を観察することができました。すぐそばのヤナギでは、葉の裏に大量のヤナギハムシの卵が産みつけられており、孵化して間もない幼虫もたくさん見つかりました。
この日の天気予報は朝から曇り、午前中のうちに雨が降り始めるとのことでしたが、歩いている間にはほとんど雨は降りませんでした。公園には年配の夫婦らしき2人組や、虫網やボールを手にした親子連れなど多くの人が訪れていました。遠くではウグイスの声が響き、広場では小さな子どもたちのはしゃぎ声が飛び交っていました。そののどかな景色の中にいると、新型コロナウイルスによってもたらされている現在の地球規模の危機的状況が、どこか別の世界の出来事のようにも思われて来ます。来月はいつものように自然観察会が開催できるよう祈りながら帰途につきました。
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4月度の観察記録
2020年4月度の観察記録(PDF)です
| 2020-4-29 | 180 | |
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