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2008年 > 3月度の観察記録
3月度の観察記録
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 暖かい晴れた日になり,快適な観察会になりました.既に春が来ている感じでした.新池にはヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科),カイツブリ(鳰,カイツブリ科),ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)およびハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科)がそれぞれ2羽ずついましたが,常連のコサギ(小鷺,サギ科)は来ていませんでした.新池の周辺には鳥の餌になるユスリカ(揺蚊,ユスリカ科)が沢山飛んでいました.新池の水面にはスイレン(睡蓮,スイレン科)の芽のようなものが点々とありました.新池横のセンダン(栴檀,センダン科)は,実を1つだけ残して,後は全て枝だけでした.元清風荘のピラカンサ(Pyracantha, Fire thorn,バラ科,別名:橘擬)も赤い実はすっかり無くなっていました.サルスベリ(百日紅,ミソハギ科)は,枯れた実を沢山つけていました.集合場所のイチョウ(銀杏,イチョウ科)の木でシジュウカラ(四十雀,シジュウカラ科)がツーツーピーとしきりに鳴いていました.参加者は,子供11名を含む51名と大勢になりました.ボーイスカウトの子供達(小学校2年生〜4年生)と引率の大人達が来たため人数が多くなりました.

実の無くなったピラカンサ サルスベリの実

 まず,参加者が持ってきたダイオウショウ(大王松,マツ科)とテーダマツ(Pinus taeda,マツ科)の松ぼっくりと葉を観察しました.ダイオウショウの15cm以上の大きな松ぼっくりは,沖縄で1000円で売られていたそうです.ダイオウショウの針葉は20cm以上の長さがありました.テーダマツの松ぼっくりはダイオウショウの半分以下の大きさでしたが,うろこ部分が尖っており持つと痛い思いをしました.日本の普通のマツの針葉は2本一組ですが,北米原産のダイオウショウとテーダマツの針葉は3本一組でした.後で調べると,サンコノマツ(三鈷の松,マツ科)が3本一組として有名なようです.テーダマツの漢字表記を聞いた人がいましたが,英名でそのまま呼ばれているので,漢字表記はないようです.

  【外部リンク】三鈷の松

 カンアオイ(寒葵,ウマノスズクサ科)の葉に付いたギフチョウ(岐阜蝶,アゲハチョウ科)の卵の写真の説明を聞いていたときに,ボーイスカウトの人達が離れていたので,リーダーが全員集合という号令をかけました.先月と同じく持ち込まれたヤママユガ(山繭蛾または天蚕,ヤママユガ科)のまゆの抜け殻を観察して,子供達に何であるか知っているかを聞いたところ,カマキリの卵という答えがありました.はさみでまゆを切り裂いて中身を確認すると,さなぎの脱皮殻が残っていました.先月の記録を見て,その後,新池開堀報告書と灯火採集の報告についても話がありました.

ダイオウショウとテーダマツの松ぼっくりと葉 ヤママユガのまゆ ヤママユガのまゆの中身

 9:50に平和公園に向けて出発しました.蛙の卵を採取するために,里山の家で3つの網の準備をしました.その後,里の道を通って平和公園に入りました.里の道の両側の畑に植えられた元気のない薄黄緑色のナノハナ(菜の花,アブラナ科)は,周辺を濃緑のカラスノエンドウ(烏野豌豆,マメ科)にすっかり取り囲まれていました.最初,囲んでいるのはヤハズソウ(矢筈草,マメ科)ではないかという参加者もいました.カラスノエンドウもまだ背が低いので,スズメノエンドウ(雀野豌豆,マメ科)やカスマグサ(かす間草または烏雀間草,マメ科)との区別は難しいようでした.山側の畑では,実を付けた枯れたハブチャ(波布茶,マメ科)もありました.

カラスノエンドウに囲まれたナノハナ

 日陰のトンボ池は約1mm厚の氷に覆われていました.春が近づいていますが,夜の気温は,まだ零度を切っているようです.氷を割ってニホンアカガエル(日本赤蛙,アカガエル科)の卵を観察しました.網を使って,ひとかたまりの卵塊をバットに採取して観察しました.まだ,卵の核は小さく何齢かは分かりませんでした.ニホンアカガエルは2月には,既に産卵していましたが,ひも状の卵塊のヒキガエル(蟾蜍,ヒキガエル科)の卵はまだありませんでした.アカガエルは,ヒキガエルより早く産卵して,遅くカエルになり水から上がるという説明がありました.ニホンアカガエルの大きさは,3〜6cmくらいで,そんなに大きな蛙ではないという説明もありました.近くに10cmを超える大きなヒキガエルの死骸がありました.内蔵を食べられており,産卵に来てカラスなどに襲われたのかもしれません.

ニホンアカガエルの卵塊 ヒキガエルの死骸

 水田の畦には,白い小さな花を付けたタネツケバナ(種漬花,アブラナ科)や枯れたシロバナサクラタデ(白花桜蓼,タデ科)がありました.沢山のモグラ塚もありました.綿がはみ出しているようなガマ(蒲,ガマ科)の穂も観察しました.因幡の白ウサギの話は,もう子供達は知らないだろうということになりました.白っぽく見える実を枝につけたシンジュ(神樹,ニガキ科)は,近くの幹と枝だけのコナラ(小楢,ブナ科)やアベマキ(阿部槙または?,ブナ科)と比べて特徴的でした.

 芝生広場は,柵で封鎖されていました.クレイ射撃場の跡地で,高濃度の鉛が検出され,客土などの対策をするまで立ち入り禁止でした.農道をさらに東に行き,アラカシ(粗樫,ブナ科)の木々の葉を調べて,ムラサキシジミ(紫小灰,シジミチョウ科)の卵が全く付いていないことを,中学生の参加者が不思議がっていました.

ガマの穂 シンジュ アラカシの葉

 ソヨゴ(冬青,モチノキ科)にまだ赤い実が残っており,鳥達は,ソヨゴの実はまずいので食べないという話がでました.ナンテン(南天,メギ科)が最初で,次がピラカンサ(Pyracantha, Fire thorn,バラ科,別名:橘擬)で,最後にソヨゴの順で赤い実が鳥達に食べられると言う参加者もいました.今年は,平和公園でメジロ(目白,スズメ目メジロ科)やヒヨドリ(鵯,スズメ目ヒヨドリ科)がソヨゴの実を食べているのを数回私は見ましたので,食べない訳ではありません.
 幹と枝だけのネジキ(捩木,ツバキ科)を観察して,幹の木肌から,右巻きか左巻きかの議論が起きました.古典的な見方では,左巻きで,最近の主流では右巻きになります.

   【外部リンク】ヘクソカズラ(mizuaoiの植物記)

   【外部リンク】植物の左と右

 アサガオ(朝顔,ヒルガオ科)の蔓は左巻きと言われているのは,古典的な見方で,蔓の左側を巻き付く相手にすり寄せるという考え方のようです.最近の考え方は,下から上(成長する方向)に座標軸の正の方向をとり,右ネジの法則によって巻いている方向を右巻きとしています.座標軸を逆向きにとれば(上から蔓を見れば),古典的な見方と一致します.力学を教えている立場からすれば,最近の考え方の方が非常にすっきりしており,合理的と思いますが,昔に書かれたものと最近の解説が逆になっていることに注意が必要なようです.

赤い実をつけたソヨゴ ネジキ

 ウバメガシ(姥目樫,ブナ科)を見つけて,一部虫に食われた肉厚のてかてか光った葉を観察しました.根元には,小さめのドングリも落ちていました.ウバメガシは,平和公園にはたくさんあるようです.ミヤマガマズミ(深山莢迷,スイカズラ科)も見つけてその新芽を観察しました.コバノガマズミ(小葉莢迷,スイカズラ科)との区別は,この段階では難しいようです.

ウバメガシ ミヤマガマズミの新芽

 ガードレールを越えて薮こぎをして,谷筋のヒメカンアオイ(姫寒葵,ウマノスズクサ科)の葉と花の数をかぞえに行きました.いつものように7つのコロニーごとに参加者が分かれて,かぞえました.あるコロニーの中に,1株だけ葉の先端が尖っているスズカカンアオイ(鈴鹿寒葵,ウマノスズクサ科)を見つけました.昨年からあったそうですが,多分,人為的に誰かが外から持ちこんだのだろうということになりました.このスズカカンアオイも2つの花をつけており,ヒメカンアオイの花より大きめでした.7つのコロニーのカンアオイの葉と花の数は,769と147でした.葉は,初めて700台に到達しました.花は,2005年に最高156でしたので,あまり変わっていないということでした.

カンアオイの観察 ヒメカンアオイ ヒメカンアオイの花 スズカカンアオイの花と葉

 カンアオイの葉と花をかぞえているときに,透明な1mm大のナメクジ(蛞蝓,ナメクジ科)かカタツムリ(蝸牛,カタツムリ科)の25個くらいの卵のかたまりを発見した人がいました.触るとぶよぶよしていたそうです.初めて見た人が大半でした.周辺で鷹の爪の形になっているタカノツメ(鷹の爪,ウコギ科)の新芽がありました.毎年見るヒイラギ(柊,ヒイラギ科)も多少大きくなったようでした.ゾウムシを研究している参加者が,子供の持っていた竹の中からキクイゾウムシ(木食象虫,ゾウムシ科)を見つけました.また,オジロアシナガゾウムシも別のところで見つけたそうです.ここでもシジュウカラが木のてっぺんでしきりにさえずっていました.

ナメクジの卵 鷹の爪状のタカノツメの新芽

 薮こぎをして元の道に戻り,パンパスグラス(別名:シロガネヨシ(白銀葦),イネ科)のある広い場所まで行きました.ハクバイ(白梅,バラ科)がきれいに花を咲かせていました.カマキリ(蟷螂,カマキリ科)の卵鞘(らんしょう)も枝についていました.そのハクバイの根元のうろから,常緑で葉をつけたアラカシ(粗樫,ブナ科)と落葉樹のコナラ(木楢,ブナ科)が出ていました.子供がうろにアラカシとコナラのドングリを入れ,それが発芽して大きくなったのだろうということになりました.

ウメの花 ウメの枝についたカマキリの卵鞘 ハクバイのうろから出たアラカシとコナラ

 移動しながら感想会をする場所を探しましたが,最適な場所はカップルが休んでいて,お邪魔をしてはいけないということで,カキ(柿,カキ科)の木の近くで座って感想会を行いました.1羽のツグミ(鶫,ツグミ科)が遠くで地面の餌をついばんでいました.感想はカンアオイとニホンアカガエルの卵について多く出ました.中学生の参加者が,カンアオイが好きになった理由として,めずらしくて地味であるという理由を挙げていました.ボーイスカウトの人達は,組長の男の子が代表して感想を述べました.大変暖かく,「春が用意ドン」で始まったという感想を述べた参加者もいました.
 親と一緒に来た子供達がころころと転がり遊ぶのをながめながらの楽しい観察会になりました.


観察項目:ダイオウショウとテーダマツの松ぼっくりと葉,ヤママユガの抜け殻のまゆ,ナノハナ,カラスノエンドウ,ニホンアカガエルの卵塊,タネツケバナ,シロバナサクラタデ,シンジュ,アラカシ,ソヨゴ,ウバメガシ,ミヤマガマズミ,ナナホシテントウ,スズカカンアオイ,ヒメカンアオイ,ナムクジの卵?,タカノツメ,ヒイラギ,ウメ,カマキリの卵鞘,コナラ,アラカシ,オジロアシナガゾウムシ,キクイゾウムシ,ツグミ(概ね観察順)

文・写真:伊藤義人 監修:田畑恭子

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2008-7-19 646

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